TechSeeker Hackathonに参加しました!

はじめに

 今回は、TechSeeker Hackathonに参加しましたというお話です。

 Hackathon(ハッカソン)とは、HackとMarathonを合わせた造語です。短期間で製作に取り組み、完成度を競います。様々な種類のハッカソンがあるのですが、今回は特に電子工作に重点が置かれています。

 「未来社会」というテーマに沿って、各チームが1か月間で製作に取り組みました。参加作品は全部で17作品。80名の参加者のうち、半分は学生で構成され、様々な職種の方々が集まりました。

▼こちらのページで全作品が紹介されています。

https://protopedia.net/event/75

▼多くの方が参加されていました。コロナが明けて、イベントが増えてきましたね。

▼賞も用意されていたのですが、我々のチームはQuadcept賞と、トランジスタ技術賞を頂きました!

 今回、私は機体設計と基板設計を担当しました。製作過程は別の記事に書くとして、今回はハッカソンを振り返ろうと思います。

ProtoPediaにて作品を公開しています。「スマホを充電スポットまで運ぶロボット」です。

https://protopedia.net/prototype/3972

▼現在、Mouser Make Award 2023にも応募中です。ぜひご覧ください。

https://we-are-ma.jp/blog/votecam-mouser2023/

製作したもの

 実はハッカソンが始まったころに、普段使っていた3Dプリンターが動かなくなってしまいました。1か月という短い期間では、外注しても時間がかかりそう...

 そこで、今回はレーザーカッターをはじめて使ってみました。大半の部品が、レーザーカッターで切断した木材です。

レーザーカッターでの加工

 MDF(木材)の切断には、THE DECKさんのレーザーカッターをお借りしました。加工が早いので、大きな部品を作るのに適しているように感じました。

▼切断の様子はこんな感じ。3Dプリンターと比べると、よっぽど早いですね。

▼試作機の段階ではこんな感じ。切断した部品を組み立てています。

 レーザーカッターでの加工で、裏面の仕上がりが悪いことがありました。これはQPRODUCTSさんから、裏面にマスキングテープを貼るとヤニから保護できるという助言を頂きました。

▼仕上がりが悪い状態。マスキングテープは早速大きなものを購入。今度試してみます。

 期間中、Open Creation Lab.さんからレーザーカッターで加工された百葉箱のサンプルを頂きました。レンズによる勾配や、継手のサンプル、パスカウントのお話などなど。アクリル板でツメみたいな部品も作れるんですね。

▼レーザーカッターを使い始めた私にとって、非常に貴重なサンプルです。設計の幅が増えますね。

▼百葉箱は販売されています。いくつか売り切れていますね。ちょうどM5Stackが入るぐらいの大きさです。

https://jp.mercari.com/user/profile/226910238

MDF(木材)の塗装

 MDFの塗装については、BouqueTecさんに教えてもらいました。MDFは特に水に弱く、防水してからでないと塗料を吸収してしまいます。防水材を塗ってから塗装すると、きれいに仕上がります。

▼塗装前と塗装後を並べるとこんな感じ。赤くなりました。光沢があるので、金属のように見えます。

▼ちなみに、ロボットの写真は、箔プリンターで出力して頂きました。brotherさんの箔プリンターです。THE DECKで利用できます。

3Dプリンターでの出力

 ロボットの部品の一部は、3Dプリンターで出力した部品を使用しました。

▼スマホを挟む部品。こちらはOpen Creation Lab.さんにて出力して頂きました。はじめはスマホを挟んで持ち上げるつもりだったので、ねじ穴を切って、上下するように設計していました。

▼Spresenseの筐体も設計しました。こちらはQPRODUCTSさんに出力して頂きました。はじめてPETGを使ったのですが、つるつるしていますね。カメラの位置を調整できるようになっています。

基板の設計

 今回はスポンサー企業であるQuadceptさんのソフトウェアを使いました。ちょうどEAGLEがサービス終了するので、乗り換え時ですね。

 Quadcept賞を頂いたので、1年間のライセンスも頂いております。今後使ってみようと思います。

▼基板の設計画面。この後ミスが色々と見つかって、修正に追われました。一度たりともミスなく発注できたことが無いです...

 基板の発注はPCB gogoに依頼し、中国から5日ぐらいで届きました。穴のデータを忘れていたのですが、日本語で丁寧に対応して頂きました。

▼実際に届いた基板がこちら。

電子工作の技

 チームメイトのTakSanさん、デジもく会メンバーの皆さんをはじめとした、プロの方々にお話を聞きました。等長配線の話、かつてのアートワークの話などなど。

▼デジもく会の紹介ページはこちら。私も掲載して頂いております。はにわだったら私です。

デジもく会 | 日本デジタル工作推進機構 - JDM

「デジもく会」は電子工作を趣味としたり、これから始めたい人が中心になって月に一回程度集まり、いっしょに作ったり、教えあったり、情報を共有する交流の場です。大阪…

カプトンテープ

▼カプトンテープは耐熱性・絶縁性のあるテープです。電子機器を分解すると見かけますね。少し高額ではありますが、あると便利です。普段は絶縁性のあるカラーテープを使っていましたが、あれはベタベタします。

ポリウレタン線

 ポリウレタン線は、皮膜付きの導線です。はんだごてで加熱した部分だけ皮膜が剝がれます。

 初めて使った感想としては、こんなに都合のいい線があるんですか!?という感じでした。

 ユニバーサル基板で配線したことがある方なら、これがいかに便利かを分かってもらえると思います。配線が相当スッキリしそうです。

テスターに取り付けできるツメ

 正式名称は分からないのですが、テスターの先端に取り付け出来るものを紹介してもらいました。サトーパーツさんのものです。共立電子さんの店舗では見たことがあったのですが、どうやって使うのか分からなかったので使っていませんでした。

 ツメを端子に挟んで固定できるので、テスターを使うときに非常に便利です。他にも、先端をXHコネクタにしたり、ACアダプタを挿せるようにしたりと、様々な用途に使われていました。

▼テスターの先端に取り付けています。

配線の修正

 今回一番衝撃だったのは、発注した基板の配線の修正方法です。なんとカッターで切れます!彫刻刀でも切れるとのこと。

 理屈は分かるのですが、出来るんだ...という手法ですね。間違って他の配線も切っちゃいそうです。

▼実際に修正されたところ。ちゃんと切れていました。

 さらに、かつて8層の基板をドリルでちょうどいい高さまで削って、配線を切っていたというお話も聞きました。もはや職人技ですね。理屈は分かるんですが...

最後に

 こんなに大規模なハッカソンに参加したのは、今回が初めてでした。1か月という短い期間でしたが、非常に多くのことを学べました。実践で学ぶのが一番楽しいですね。

 1か月だと、今まで積み上げてきたスキルを活用する場になるかなと思っていましたが、新しいことにも取り組む良い機会になりました。特にレーザーカッターを使えるようになったのは大きな収穫だったと感じています。

 また、多くの方々に助言を頂きました。お世話になった皆様に感謝致します。ありがとうございました。

 来年もあるかも?今から楽しみです。

TechSeeker Hackathonに参加しました!” に対して3件のコメントがあります。

  1. TakSan より:

    [テスターに取り付けできるツメ] の箇所で補足です。

    ツメ側は正式には ICクリップとか ICテストクリップとかですね。
    そして、テスター側に直結出来る中継ジャックは、正式には
    サトーパーツのターミナル・チップジャック TJ-2 シリーズ▼ですね。
    https://www.satoparts.co.jp/products/search/T_TJ/TJ-2

    1. 管理人 より:

      コメントありがとうございます!
      商品リンクもありがとうございます。
      中継ジャックは赤色が人気なのか、売り切れていましたね。
      また入荷されたら買い足そうと思っています。

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